走りの左右差は、そろえた方がいい?
たとえば、撮ってもらったランニングの動画を見返したとき。右と左で、腕の振り方が少し違う。片方の足だけ、外側へ流れているようにも見える。
走っている間は気にならなかったのに、一度見つけると、そこばかり目で追ってしまうことがあります。
左右を同じにすれば、もっときれいに走れるのだろうか。今は痛くなくても、このままではけがをするのだろうか。
自分の走りを知ろうとして、かえって不安になる。そんなときは、そろえ方を探す前に、見つけた違いが何を意味するのかを考えてみたいと思います。
違って見えることと、困っていること
痛みなく走っている人にも、左右の違いはあります。足が地面についている時間、地面から受ける力、脚の運び方。同じ「左右差」という言葉でも、何を見ているかは一つではありません。
ここで、少し研究の話をすると、健康な市民ランナー836人を6か月間追跡した研究では、接地時間や地面から受ける力などで測った左右差が大きいほど、けがをしやすいという関連は確認されませんでした。
ただし、これは左右差を直す練習の効果を調べた研究ではありません。腕や脚の角度といった、動画で気になる見た目の違いも調べていません。痛みがある人や、けがから復帰する人に、そのまま当てはめることもできません。
それでも、左右が違うと分かっただけで「直さなければ」と決める必要はない、とは考えられそうです。
一方で、片脚をかばって走っている、同じ場所に痛みが繰り返し出る、といったことがあるなら、話は変わります。見た目の印象と、実際に困っていることを、一緒に確かめていく必要があります。

右と左だけでなく、前の自分とも比べる
久しぶりに撮った動画に左右差があったとして、それは最近出てきた違いでしょうか。以前から、同じように走っていたのでしょうか。
過去の動画があると、今の左右を比べるだけでは気づけなかったことが見えてきます。以前も同じような脚の運びだったのか。それとも、痛みが出た頃から変わったのか。違いの大きさだけでなく、いつから、どんな場面で現れるかも手がかりになります。
比べるなら、同じくらいのペースで、撮る方向や位置もできるだけそろえてみる。右は足が着いた瞬間、左は地面を離れる直前、というように違う場面を並べても、同じ条件の比較にはなりません。
静止画を一枚ずつ見たら、動画でも何歩か続けて見てみる。そこに、その日の疲れや走ったときの感覚を添えておくと、形だけを見ていたときより、考える材料が増えます。
動画は、自分では見られない走りを知る助けになります。ただ、映っている形だけで、片脚の筋力が弱いと決めたり、痛みの原因を特定したりすることはできません。
そろえた先に、どう走りたいか
左右をそろえたいと思ったのは、何が気になったからでしょうか。
片側だけ疲れやすい。痛みを繰り返したくない。もっと楽に、あるいは速く走りたい。そこがはっきりすると、確かめたいことも具体的になります。
たとえば、左右を合わせようとして、かえって走りにくく感じるなら、その意識の仕方を続ける必要はありません。形が近づいたかと一緒に、同じペースでの走りやすさや、走った後の身体の様子も見ておきたいところです。その場で楽に感じたことだけで、けがの心配がないと判断するわけでもありません。
痛みが続く、走るほど強くなる、かばうような動きが出る場合は、無理にフォームを直しながら走り続けず、医療機関に相談してください。けがからの復帰中なら、担当の医師や理学療法士と、筋力や動きの回復も含めて確認していくことが大切です。
左右差は、気づいた瞬間に消すべきものと決まっているわけではありません。自分の走りを知るための手がかりの一つです。
次に動画を開いたら、違っているところだけでなく、普段どおり動けているところや、前より楽に走れたときの動きも見てみる。そんなふうに、自分の走りを確かめる時間にできたらと思います。

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