距離やタイム以外にもある、ランニングの目標の立て方
走り終えて記録を見ると、距離やタイムが目に入ります。前より長く走れた日はうれしいし、思ったほど走れなかった日は、もう少し頑張れたかもしれないと感じる。数字が残るからこそ、次の目標も立てたくなります。
一方で、短い距離でも気持ちよく帰ってこられた日や、仲間との会話が楽しかった日もあるはずです。そういう一日は、走行距離の欄だけでは、なかなか振り返れません。目標を考えるときにも、その違いは関わってくるのではないでしょうか。
数字を決める前にあったもの
たとえば、仕事のあとに気分を切り替えたくて走り始めた場合。走った距離はその日の記録になりますが、その人が求めていたのは、仕事のことから少し離れ、外で身体を動かす時間だったかもしれません。
記録をつけるうちに、もっと走りたくなることもあります。それもランニングの楽しさです。ただ、月末に距離が足りないことばかり気になるようになったら、走り始めたときに望んでいた時間とは、少し違ってきているのかもしれません。
大会で記録に挑戦する人も、休日を気持ちよく過ごしたい人も、誰かと一緒に走りたい人もいます。目標を持つことは同じでも、その目標が何につながっているかは違う。そこが曖昧なままだと、人の数字を借りてきても、自分が達成したいと思う理由までは借りられません。

目指す結果と、そこへ向かう行動
走る理由が分かっても、それだけで日々の練習が決まるわけではありません。気持ちよく走りたいと思っていても、何をすればその時間に近づけるのか。大会の目標タイムを決めた場合も、同じところで立ち止まります。
ここで、目指す結果と、そのために取り組むことを分けて考える余地が生まれます。トレーニングの目標には、最終的な記録だけでなく、身につけたい能力や動きに関する目標もあります。結果へ向かう途中に、何が変わったかを確かめる場所をつくるわけです。
たとえば、教わった動きを普段の走りでも使えるようになりたいとします。次の練習で試し、どこで分からなくなったのか、自分の感覚を言葉にして指導者と話す。うまくできたかどうかに加えて、何が課題なのかも見えてきます。目標の言葉から実際の場面が浮かぶと、その日に取り組むことが具体的になります。
気分転換が目的なら、走ったあとに気持ちがどう変わったかを短く残すこともできます。長い練習日誌でなくても、その日の感覚が後から分かる一行があれば、距離とは別の面から振り返れます。
こうした行動が生活に収まるかも、目標の実現に関わります。仕事や家事のあとに毎回詳しい記録を書くのが難しければ、短いメモにする。何に取り組んだかを確認できて、実際に時間を取れること。その両方がそろって、目標が日々の行動とつながっていきます。

目標を変えるときに残したいこと
始める前にはよさそうに思えたことも、試して初めて分かる部分があります。メモを残すことで走る楽しさに気づく人もいれば、書くことが負担になる人もいるでしょう。
次の練習会や月末など、振り返る時期が決まっていれば、同じ目標を続けるかどうかも考えられます。できた回数だけでなく、それが自分の目的に役立ったか。実行できなかったときにも、内容が曖昧だったのか、生活の中で時間を取れなかったのかによって、見直すところは変わります。
記録を目指しているなら、取り組んだことが結果につながっているかも確かめたいところです。過程を楽しめたことと、目標タイムに近づいたことは、それぞれに振り返る意味があります。
目標を変えるのは、積み重ねをなかったことにする行為ではないと思います。実際に走ってみたから、自分に合うこと、今は難しいことが分かった。その経験があると、次の目標には、以前よりも自分の言葉が入ってくるのではないでしょうか。

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